今回は学習塾の事務職の仕事についてリアルなところをお話しします。
集団授業をメインとした塾は、教務の外に事務専門のアルバイトスタッフを雇っており、日中から夜の授業が始まるまでパートタイムで稼げます。
ただ、実際には思っていた以上に大変なことも多いので、申し込む前にきちんと調べ欲しいと思います。
塾の事務の仕事内容について本音の部分
まず、塾の事務職について3パターンぐらいあるので働き方を分類します。これは塾の規模や対象学年によって結構違います。
個別指導塾は事務と講師を教室長が兼ねるところがほとんどなので、事務職専門は中堅~大手進学塾やチューターなどを置いている予備校が対象です。
- 日中だけ働くパート事務:13時~17時ぐらい
- 夜の授業の間に働く事務パート:17時時~21時
- 事務全般や一部の教務を担当する正社員
こんな感じですね。割と時間帯も柔軟に対応しており、午前や午後だけを選べるような塾も多いです。
大手企業は本部に正社員のスタッフを置いています。育児中に元講師が移動してきて働くこともありますし、本部で一括採用している所もあります。
ねらい目は日中のパート事務です。間違いなく楽です。
塾事務バイトや正社員の給料は?
では続いて塾の事務職の給料についてお話しします。
- アルバイト・パート事務・・・時給1000円~1500円
- 派遣事務・・・月収18万~25万
- 正社員事務・・・年収300万~400万前後
一般事務より若干高いと思います。
気を付けて欲しいのは事務管理+教務の募集案件は、講師の仕事+事務管理まで全部任されるという意味です。
その場合は年収500万ぐらいの求人もでていますが、1校舎の管理全てを任されて激務です。
塾の一般事務の主な仕事はどんなもの?学歴や学力は必要?
- 学年ごとのテキスト・模試などの在庫管理(テスト入力もたまに)
- 保護者からの電話対応・料金の説明
- 生徒の生徒名簿・出席・進学書類の管理
- 受付での保護者対応・事務的な電話連絡
- 授業料の支払い管理・領収書管理
このような仕事です。よくある事務の仕事と大差ないので未経験でも採用されることが多く、年齢を問わず20代~40代・50代ぐらいまで採用枠に入っています。
ただし、仕事量を甘く見てはいけません。
テキストや模試の在庫管理
塾では学期ごとに主要科目のテキストおよび問題集が必要になります。オリジナル教材を採用している所は1教科につき学期ごとに数冊です。
また、学期の節目には模擬テスト・クラス分けテストなどが行われるため、教務本部や外部への発注を頼みます。
学年をまたいで発注・管理するので学年と学校数が多い塾の事務は大変です。宅急便で日中にまとめて大量に送られてくることが多く、きちんと届いているかを確認してこれを教材室に保管します。
配布当日自分のテキストがないと生徒はかなりショックを受けます・・・そしてクレームにつながることもあるので、きちんと冊数を確認してください(担当教師が手伝ってくれる塾もあります)
テストの採点や入力補助
簡単なテストの採点や結果入力に関してサポートを依頼されることがあります。
基本は事務ではなく講師がやるところが多いです。あくまで補助的なものです。
ですので、中高生の試験の問題が解けるような学力は必要ありません。
採点は「生徒のわかっていないところを把握する」重要な講師の業務です。ここを全部事務に投げてしまうような塾はつぶれると思います。
また模試結果に関しても講師が担当する場合が多いです。全国模試やマーク式など大きなテスト結果の入力は事務にも回ってきます。
小中学生は講師と事務スタッフの差が分からない子も多く、「先生!採点して?」「ココわららないんだけど?」なんて廊下で聞かれることもありますが(笑)
それは講師に回して問題ありません。
DM回収や生徒名簿の管理
塾では保護者当てのアンケートや営業目的のDMを送ったりします。その回収や電話対応がまかされます。
ここで重要なのはどんなDMを家庭に出したのかしっかり把握しておくことです。
- 夏期講習の値段はいくらなのか?
- 兄弟の割引や特典などがあるのか?
- 部活などで遅れた場合の対応はどうなっているのか?
研修で教えてくれるところもあるのですが、初めのうちは覚えるのが大変。
特に塾の費用に関しては日中の電話で聞かれることも多いです。
結構複雑な料金体系を取っており、夏期講習や冬期講習時にパニックになっている事務さんが多いです。
分からない場合は教室長に聞けば良いのですが、教室長も仕事で大忙し・・聞くタイミングがつかめないなんてことが多々あります。
生徒の出席管理と成績入力
1クラス20人、30人の集団学習塾で大変なのは生徒の出席管理です。体調を崩したり、部活で遅くなって1日2日はすぐに休みます。
ただ、休みが連続すると塾に行きづらくなり退塾の原因にもなるで、生徒の出席状況の把握は塾にとっての生命線です。
- 月にどのくらい休んだのか?
- 遅刻の回数はどのくらいか?
こいう情報が講師から回ってくるので出席簿を管理して別の台帳に入力します。
休みが多い場合は授業料にも関係するので重要なのです。
また同時に学期ごとの成績も生徒表に入力していきます。成績表をもらったら塾側が回収し、個人情報として扱います。
一つでも写し漏れがあると進学指導ができなくなるし、生徒の進学希望先や模試結果などが書かれたファイルをなくしたら始末書ものです。
受付対応の仕事
電話ではなく直接ふらりと保護者が塾にやってくることがあります。
- 塾の入塾パンフレットをもらいに来る
- 宿題忘れを子供に頼まれて親が代わりに渡しに来る
- 模試を別の日に受けに来る
- テキスト代や講習費を直接払いに来る
教師がいれば対応できるのですが、授業に入っている時は事務が対応します。金銭関係の領収書はバイト講師が切れないことも多く、事務さんににその場で渡されたりします。
授業料や教材の領収書の管理
塾の学費に関して多くは「銀行振り込み」なのですがなぜか引き落としに間に合わず直接手渡しで持ってくる保護者の方もいます。
そういう時は受付で領収書を切ります。また、同時に塾のテキストをなくしたり破損した場合、再購入してもらうことも多く、その場で領収書を切り、教材部に連絡します。
こう思うと割と仕事量は多いですね?
事務が大変なのは夜の時間!生徒と保護者対応に追われる
事務の仕事で大変なのは夜の時間帯です。
上記ような仕事があるうえに、数十人~数百人のしえと生徒が一度にやってきて職員室や廊下を休み時間に歩き回り、プリントを抱えた講師が足早に教室間を移動しててんやわんやです。
そんな時に矢継ぎ早に事務さんに質問が飛んできます。
- 「テキストが足りない!」
- 「模試の場所がわかない!」
- 「購入したのに領収書が挟まっていない!」
- 「模試の申し込み用紙をください」
- 「保護者書類はどこにある?」
週に数回しか来ないバイト講師を抱えていたり、教室長だけで人数が回り切らないような塾に配属されたら勤務時間内に仕事が終わらず帰れません。
予備校はある程度システム化されていますが、小中学校相手の塾の夜はカオスです。特に夏期講習と冬期講習はやばいです。
覚悟しておきましょう。
塾の事務職は激務な割に時給が安く、孤独で辞める人も多い
塾の事務の待遇や職場環境は大手企業に比べるとそこまで良いとは思えません。以下は事務職の方が辞めてしまう原因です。
- 生徒がうるさく落ち着いて仕事ができない
- 講師が敬語の使い方が分からず生徒のように扱われる
- 基本1つの校舎に1人の事務なので孤立しやすい
- サービス残業が割と多い
静かな環境で黙々と仕事をしたい人は塾の事務は向いていないと思います。こどもは元気いっぱいで大騒ぎします。授業中は静かですが、休み時間はうるさいです。
子供が「ギャーギャー」しているとストレスがたまるという人はやめましょう。
また、たまにですが講師には癖がある人がいます。そして若くしていきなり「先生」と呼ばれてしまうので、事務スタッフにも生徒のように接する人がいます。
これは一般企業でのやり取りをしていた人には衝撃かもしれません。「まともな敬語も使えないの?」なんて思うことは多々あるでしょう。
また、多くの塾が1つの校舎に1人か2人の事務を配置しますので孤独です。「お菓子を回して事務同士で雑談する」というような余裕はほとんどありません。
教室長や講師との関係が崩れると多勢に無勢で居場所がなくなってしまいます。
後は仕事終わりに生徒や保護者がやってきて、その対応に追われ勤務時間をすぎてしまうこともあります。
その場合残業代がでるかどうかは塾次第。塾講師にコマ給以外払わないような塾はサービス残業が常態化しており、その流れに乗ると最悪です。
教師の方も半分会社に洗脳されて「多少の残業代なんて出ないのが当然」という意識になってしまっているので、事務の残業に気が付かないのです。
これも辞めたくなる原因の1つだと思います。
塾の事務をやめたいと思ったらどうすべき?
こう考えると、学習塾の事務はそこまで楽で割のいい仕事だとは思えません。塾業界がブラックなのに事務職だけパラダイスなんていうのはレアケースです。
どうしても辞めたくなってしまったら、まずは割に合う同業他社の募集がないか探してみることをお勧めします。
未経験者におすすめできるのは日中の塾事務パートと後は大手予備校の事務スタッフ。
ここはかなりシステムがきちんとしていて働きやすいと思います。
もう一つが有名私立大学での教務課の事務スタッフです。これもかなり待遇がよく、一般的な学習塾とは全然職場環境が違います。
1年中募集が出ているような塾はスタッフが辞める数も多いということです。良い案件は非公開求人などに出ています。
・・・こういうころです。
以上、塾の事務の仕事についてまとめてみました。
求人欄だけ見ると、思っていたことと全然違うことになりかねません。気を付けましょう!
気軽にどうぞ♪