近年、教員の資格を持っている人が減少しています。
大学で教員免許の修得をするためには、一般の授業の他に教職教養などのための単位を修得しなければなりません。
そのため、大学での生活が忙しい理系や工学系の人はもちろん、ダブルスクールなどで他の資格を取るための勉強をしている大学生に、余分な単位を取る余裕がありません。
こういった理由から、近年教員が不足しています。
そこで、不足した教員の補充のために教員免許を持っていなくても「仮免許」「臨時免許」という形で教壇に立っている先生が増えています。
今回は、私立教師で教員免許がいらないケースや持っていた方が良い資格についてのお話です。
教員免許と教員不足の現状について
学校の教師になるために必要な資格が教員免許です。教員免許は免許に必要な単位を修得することができる大学なら、どんな大学でも取ることができます。
教員免許は、一般的な授業の他に専門の授業も取得し、教育実習をして得ることができます。
他の人よりも授業料の他に単位数のお金を取る大学も多く、修得で着た人はある意味、まじめに大学に通っていました、という証のようにもなっています。
実際、教員免許を修得している人には成績が良い人も多く、中には大学に残って仕事をする人もいます。
しかし、中には免許を持っても保険のように持っているだけで教員にならない人も多く、教員免許の更新制度が始まってから、免許が無効になってしまった人もいました。
大学時代、予備校や塾講師をやっていたけれど、免許を取らなかった、持っていたけれど更新をしなかったために無効になってしまった。教員としての適性があるのに、教師になっていない人は山のようにいます。
一方、学校の現場では若い人の多くが教員免許を取らないために、教師不足が深刻化しています。
実際に教員免許は医師免許などと異なり、絶対になくてはならない、という資格ではありません。あくまでも教員免許という制度のため、免許がなければ教師ができない、というわけではないということです。
そこで、教員免許がなくても教師になれる方法についてのご紹介です。
臨時教員免許・特別教員免許って何?
私立の中には、教員免許を持っているのに非常勤講師にしかなれないのに、教員免許を持っていない人が専任教師になっている、という学校もあります。
こういった学校で仕事をしていると、非常勤講師の中には「理不尽」と思ってしまうこともありますね。
教師になるためには「教員免許」が必要。それは当たり前のことです。
しかし、例外があります。
- 予備校の先生経験がある
- 塾講師の経験がある
- 有名大学の大学院を卒業している
このような条件で、私立教師になっている人がいます。
一般的な採用ではあまり聞きませんが、まったくないというわけではありません。
本来なら公立私立関係なくありえませんが、一部の学校では20年くらい前から「仮免許」の制度を利用して、予備校の先生をそのまま学校で採用している私立学校もあります。
新進の進学校の中にはこういった学校があり、教員免許がいらないケースの代表になっています。
この場合は、「仮免許」「臨時教員免許」「特別教員免許」「特別非常勤講師制度」「免許外教科担任制度」による採用となっています。
教員免許がなくても教員に採用されやすい教科
教員は全体に人で不足ですが、中でもとにかく不足している教科があります。
こういった教科では他の教科の免許を持っている人でも、とにかく仕事をしてほしい、教壇に立ってほしいと、採用される場合があります。
中でも不足しているのが、技術科と家庭科です。
技術の教師は免許外担任制度が多い
近年とにかく不足している「技術」教員の場合「免許外教科担任制度」の制度を利用して教えている教師も大勢います。技術は中学の3年間でしか学ばない、技術という教科を指導するための免許です。
かつては中学の女子は家庭科を、男子は技術科の授業を行っていました。
しかし、男女共修となって技術家庭の内容が大幅に変更され、さらに家庭科の教員の多くが非常勤講師となりました。
家庭科の場合は女性の教員が多いため、結婚や子育て、家庭との両立を考え、非常勤講師を希望する人も多かったため、さほど人手不足が問題になっていません。
技術の場合も単科で教えるには授業数が少ないため、専任教師が不要という学校もあり「技術も非常勤講師を採用したい」という学校が増えます。
しかし、男性の場合は家事の傍らに教師をする、ということを希望する人はいないため、技術の免許を取る人がどんどんと減ってしまいます。
かつては技術の免許も取得できた工業大学などで教員免許を取得する制度がどんどんとなくなっています。
例えば、30年くらい前までは芝浦工業大学などでは数学の免許の他に、技術の免許を一緒に取ることが可能でした。
また、国立大学の教育学部では小学校と中学の免許の時、専科として希望する教科を3つ取ることができたため、技術と数学と理科、技術と社会と体育といった形で免許を取っていた先生もいます。
しかし、教員を希望する人そのものが減っているという理由で、教育大学を前身とする筑波大学でも、教師よりも研究者になる人が増えています。
逆に、技術の内容で教える「情報」が大学入試に利用されるようになったため、各中学では情報の授業を重視するようになっています。
そこで、情報の免許を持っている教員、工業の免許を持っている教員、中には家庭科の教員を持っている教員が「技術」の授業を受け持っている学校が多くなっています。
技術の場合は大半の教員が技術の免許を持たず、「免許外教科担任制度」を利用しています。
家庭科の教師も免許外で担任をもつ先生が多い
家庭との両立で非常勤講師を希望する人が比較的多い家庭科ですが、元々の「母集団」が少ないので万年人手不足になっています。
家庭科の免許そのものが女子大に多く、共学の大学で取得することが難しい、というのが一番の理由です。
また、募集の際、非常勤講師の募集はあっても専任の募集が少ないため、若い自立したい女子大生にあまり人気がないのです。
さらに、新しいことを取り入れ、生活になくてはならない教科になっていることが広く知られていないため、やりがいがないということで「家庭科の教員数」そのものが不足しています。
そのため、家庭科の教師は非常勤講師でも、他の教科の1.5倍以上の授業数を抱える先生が多くいます。
そこで、子供たちが未履修にならないために、英語や国語などを持つ女性の教師が「女性」という理由だけで「免許外教科担任制度」を利用し、学校の建前で家庭科の授業を担当していたりします。
未更新による臨時教員免許で仕事をする先生もいる
教員免許の更新制度が始まって、非常勤講師でも専任でも学校の教壇に立っている人は一定の年数を経た後、大学に通ったり通信教育で再度更新講習を受けるようになっています。
ところが、長年専業主婦をしていた、一般企業で仕事をしていたという人の中には、更新講習を受けることができず、免許状が失効している人もいます。
免許の失効は、教員の仕事をしているといつ更新をするのかわかりますが、仕事をしていないと更新の時期がわかりません。
さらに、更新するためには自分の所属する学校長の証明書が必要です。
そこで、予備校や塾などで講師をしても、所属長の証明をもらうことができますが、教育関連ではないと更新を受けること自体できないのです。
ところが、教員不足の時に、教員を長年やっていなかった人から採用を考えたところ、免許状の未更新等により採用できなかったというケースが多数出てしまいました。
そこで、免許の更新ができていなかった人に対しても、臨時教員免許という制度で仕事ができるようになっています。
採用が決まった後、4月まで、またはその年度内に更新に必要な講習を受け、更新することができます。
もし、かつて教員免許を取ったのに、まったく使っていないうちに失効してしまった、でも子育てが終わったので教員の仕事をしてみたい、という人はいませんか?
平成12年度から始まった臨時教員免許が発行されている件数は、毎年8000件を超えています。教員の仕事をしてみたい、という人は、こういった理由を募集学校に申し出てみてはいかがでしょうか。臨時教員免許制度を利用して、採用が可能になることもあります。
教員免許同等の資格はどこで取れる?
教員になるためには、まずは大学を卒業しましょう。
学士の資格は教員にとって、絶対にといってもいいくらい必要な資格です。
さらに、修士、博士の資格を持っていると教員免許を持っていない人でも採用する学校が増えています。
中でも、大学院の時アルバイトで予備校講師をしていると、そこから教師の道につながることもあります。
特別支援学校などで仕事をする場合は、一般的な教員免許以外でも仕事をすることができます。この場合、学校の教員免許ではなく幼稚園の教諭免許でも、二種免許を取得することができます。
また、幼稚園の教諭免許は、小学校教諭免許にもつながります。
難しいことを教えるよりも子供が好き、大学受験などの指導より、小さい子供に何かを伝えたいという理由で、教員を目指したい人は幼稚園教諭の免許を持っていると良い資格となります。
教員免許がいらない先生ももちろんある
予備校や塾もですが、大学の先生は「教員免許」が不要です。
必要なことは大学卒業以上、特に大学院卒業以上の学歴、または他の人にはない秀でた能力があると有利になる教師です。
中には、大学卒ではなくても北野武氏、さかなクンと大学で特別講師、客員教授となっている人もいます。
また、日本の大学を卒業しないと、国内では高卒扱いになりますが、海外の大学で優秀な成績を収めていると、大学で仕事をすることもできます。
同じように、中高のALTの英語教師なら教員免許がなくても、海外の大学卒業などの資格で教師になることが可能です。
まとめ!教員免許がなくても教師になれる!!
このように教員免許がなくても、失効してしまっても教師になることはできます。
失効してしまったけれど、やっぱり先生になりたい、免許を取らずに卒業しても他人に教えることが好き、という人は教員募集をしている学校や、教員専門の契約会社などに相談をしてみましょう。
新しく教師になる道が見えてくるかもしれません。
気軽にどうぞ♪