塾講師の仕事って講師募集の案内を見ると夢と希望に満ち溢れていますが、実際入ってからイメージとのギャップに悩んでしまう講師も多く、離職率も断トツに高い業界なっています。
そこで今回はあまり募集要項にはでてこない、本当に辞めたくなる理由を本音で語ってみたいと思います。
塾業界の退職率は業界内でベスト3に何度もなる
実際に塾業界の離職率は数々ある業界内でもベスト3に何度もなっているほどの多さです。一般的には1/3ぐらいの確立で辞めるのですが、この業界は1/2人です。
ほぼ定年まで勤めあげる人は存在せず、どこかで辞めてしまうということです。
項目 | 離職率 | |||
---|---|---|---|---|
大学 | 高校 | |||
宿泊業・飲食サービス業 | 50.4% (+0.7P) |
宿泊業・飲食サービス業 | 62.9% (▲0.3P) | |
生活関連サービス業・娯楽業 | 46.6% (+1.6P) |
生活関連サービス業・娯楽業 | 58.0% (▲1.2P) | |
教育・学習支援業 | 45.9% (▲0.3P) |
教育・学習支援業 | 58.0% (+1.5P) | |
医療、福祉 | 39.0% (+1.2P) |
小売業 | 49.4% (+0.6P) | |
小売業 | 37.4% (▲0.3P) |
不動産業、物品賃貸業 | 46.7% (+1.2P) |
【 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)より 】
その理由の中でこれは本当に辛いと思うことを順番に話そうと思います。
塾の正社員は拘束時間が非常に長く残業が多い
塾の正社員になってくると、勤務体系が授業のみのアルバイト講師と違って、拘束時間が非常に長くなります。
だいたいが朝の10時から休憩時間を計算されて夜の9時となっていますが、それだけでは終わらない膨大な雑務が待っています。
- 授業内容の準備
- 板書計画
- オリジナルプリントの作成
- 生徒答案の採点及び統計
- 教室内の張り紙作成や修繕
- 生徒への家庭連絡
これらの時間はほぼ業務外の仕事とされることも多く、授業準備は家で済ませて来るものという風習が根強く残っています。
点数につなげ、うまい授業をやるためには過去問をきちんと解き、出題傾向をつかみ、短時間で生徒に伝えるノウハウが必須ですが、このための準備を残業代として出す塾はほとんどないでしょう。
多くの先生が仕事終わりに半分徹夜で教室に残って明日の授業計画を練っています。
休日の補習で月の休みがほぼない
また、生徒の成績アップのためにテスト前は補習を組む塾が多いのですが、そのコマに正社員が当てられて、その結果休みの日がほぼなくなることもあります。
生徒の成績が自分の給料にも跳ね返ってくるので、休みの日もボラディアで出勤してしまう社員も多く、月に1日の休みも取れないなんてケースも。
特に校舎ごとの成績を本部が一覧管理して発表しているような競争意識が高い進学塾はこのような傾向にあります。
ここでへとへとになって辞めたくなってしまうのです。
定期テスト対策プリントを作るのが辛い
塾の仕事というのは基本的に学校のテストに振り回されます。やはり塾のPRは「学校の成績が伸びた!」というのが一番で、そのためには定期テスト対策のプリントが学校の範囲に合わせて作り替えなくてはいけません。
学校では1クラスの進路が遅れるとそれに合わせて試験範囲を変えてきます。同じく塾も突然の試験範囲の変更に合わせて対策授業を変えなくてはいけません。
複数地域にわたり生徒を募集しているような塾では、テスト前の対策授業の数や範囲が多岐にわたり、その対応だけで死にそうになります。
生徒勧誘の仕事をやらされるケースもある
公立学校と違い塾は生徒集めからが仕事になります。
待っていても生徒がやってくるわけでもなく、入ってきた生徒のお友達を紹介してもらったり、学校の前に立ってチラシを配ったり、あの手この手で勧誘するケースがあります。
中には文化祭や体育祭の入り口などで勧誘する学習塾もあります。保護者から白い目で見られてつらいです。
既に実績もあり知名度も高い塾は良いのですが、そうでない場合は授業中、休み時間にあからさまな勧誘を生徒に強制させられここが一番いやだという社員も多いのです。
強制的な営業ノルマが本当にきつい
これは塾によるのですが、無料体験授業の後に生徒に直接の営業をかけたり、保護者に日中電話をしなければいけないところもあります。
また、講習の科目数が減った場合売り上げに関係するので、コマを減らさないように、むしろ教科を増やすように説得させられます。
本当は夏休み位旅行に自由に行かせてあげたいと思っても、会社の売り上げのために心を殺して営業するのが辛いと感じる講師も多いです。
教室長クラスになってくると教室の生徒の目に触れないところに「生徒数の増減」のグラフが張り出され、他後者と比較されます。
それでさらに上のエリアマネージャーなどから強烈なプレッシャーをかけられます。
点数上主義の塾の職場に嫌気がさす
生徒の点数はきっちり把握して、それが講師の評価に直結します。
模試・定期テスト・校内テストの順位が教師ごとに比較され一覧で貼られて配られる塾もあります。
また合格実績を作るために、成績が低い子供よりも高い子供に関して、優遇した料金制度、クラス分け制度もあり、そういうのを見ているうちに、教育が金儲けの手段に見えてきてしまって、本来の自分の価値観とズレてしまいます。
生徒の模擬試験の結果でもボーナスに差が出たりするので、生徒に内容を無理やり詰め込んでともにストレスを抱え、辞めていく正社員もかなりいます。
縦社会で塾の授業研修がかなり厳しい
正社員ともなるとかなり授業の質が問われます。特に集団授業を担当する講師は先輩講師の指導が入ることが多々あります。
これが本当にきつい!
- 授業内容を先輩講師に提出
- 先輩講師の前で授業
- 数十人の先生の前で模擬授業
私はこれで相当授業上手くなりましたが、ただ上手くなるまでは地獄です。
- 「そんなレベルではお金はもらえない」
- 「生徒の確認をしていない」
- 「板書が汚い、内容が間違っている」
絶対に生徒には言わないような厳し言葉で繰り返し否定され続けると研修の事を考えただけで胃が痛くなります。
これが嫌で辞めたくなる先生も多いのではないでしょうか?
男性が多い職場で女性が差別されやすい
小学校と中学、高校で違いはありますが、中高に学習塾に関しては圧倒的に男社会であり、女性の教師は校舎の割合で1割程度です。
そのせいでパワハラやちょっとしたセクハラが見逃されているという現状もあります。
中高生はの反抗期になると男性生徒が女性の先生にいじることがあったりして、これが結構精神的にストレスです。
女性の離職率も高い業界なんです。
夜勤なので塾講師は一般社員との交流ができない
塾講師は結婚できないなんて言いますが、これはかなり本当のところで、夜勤なので一般社員との交流が非常に難しいです。
夜11まで仕事となるとその後に飲みに行くのは同僚だけ、しかも同僚は同姓なのでなかなか職場での出会いはありません。
そうなるとプライベートも仕事ばかりになってきてストレスがたまるんです。
かなり厳格な服装規定で個性がそがれる
これは学校・塾同様かと思いますが、生徒の典型的な模範、保護者の目の見た目ということでかなり厳格な服装規定をしている塾が多いです。
- ブランド物は無地でもダメ
- ほんの少しでも髪を染めたらアウト
- 耳以上に髪は絶対に伸ばせない
- 香水はNG、ヒールもダメ
- 色付きのワイシャツはダメ
- パーマはだめ。
個性をどんどん殺される社内規定が嫌だという人もいます。生徒に自由な生き方を提案したいと思う先生程ここでやられる人がいます。
結局婚期逃して生涯独身になりがち
職場での出会いがなく、仕事の終わりが遅いので結局同僚と過ごしておわり、なんだかんだ気が付いたら30代、40代を迎えていたという先生をよく見かけます。
それでも焦らないのは、生徒が若いからなのかもしれません。
常に中高生と話す状況に置かれるとなかなか自分の結婚までは考えられないのかもしれません。
正社員なのに社会保障や福利厚生が使えない
学習塾の社会保障や福利厚生についてですね、有休をはじめとする各種社会保障ですが、私は未だかつて有休を使って1週間ぐらいのんびりと海外旅行にいっている塾の講師を見たことは人生で1度もありません。
つまり有給はあってないようなもの。強いて言うのであれば高熱を出した、親族がなくなった、インフルエンザに罹ったなどの病気の時だけ。
精神的に参ってしまったとか、産休に入ったという理由で長期休暇を取れるような塾は本当に少ないので気を付けましょう。
そう言う意味でも結婚している女性が少ないのにうなづけます。
塾によっては退職金が出ず給料に含まれているケースもある
これは気を付けて欲しいのですが、定年まで働いた後に一切退職金が出ない塾が複数あるという事実です。
そもそも学習塾で定年まで勤めあげるという人はレアなので、退職金の細かい規定を作っている塾が少ないのです。
また、退職までの40年間続く学習塾というのも少なく、自分で年金を作れるようになっておかないと年を取るごとに将来が不安定になります。
過剰なサービスと保護者対応が辛い
今は各地域に塾が6個も7個も立ち並んでいます。フランチャイズから個人の独立系、そろばんから公文式のような特化系。
英語塾に、ダンススクールまで、習い事が増えまくったせいで、塾も過剰なサービスを展開している所もあります。
- 科学実験教室
- キャンプやスポーツイベント
- 音楽祭の開催
- 料理教室
- 英会話教室
以前は学校でやっていたものを学習塾に取り入れて差別化を図っています。その結果として過剰な無料サービスが生れ、保護者との対応が複雑化してきています。
保護者も高学歴で高度な授業を求める方、普段の生活をより充実させたい方、子育てから解放されたい方まで塾に通わせる目的はそれぞれ。
「これは塾の仕事ではないだろ?」「家庭でやるべきことでは?」ということまで学習塾に負担がかかっているのも実情です。
塾バイトの離職率が高いので正社員はカバーが大変
このような理由からバイトも正社員も3年待たずにどんどん辞めていきます。大変なのは学期途中でバイト講師がいなくなることです。
いわゆるバックレという奴なのですが、これが起こると玉突き事故のように講師を別校舎やクラスに配置する必要が出てきます。
折角生徒との関係・保護者との信頼を築いたのに、突然学期途中の人事異動で大混乱が四六時中おきます。
講師が消えても、生徒は通常通りお金を払って通ってきます。
アルバイトのカバーは基本正社員が行いますので、それがめちゃくちゃ大変です。
コンビニで突然店員が辞めると深夜枠を店長が代わりにしますよね?
あれと同じ事が起きる業界だということです。
激務に耐えられるのは30代まで!40代からが本当にきつい
このような劣悪な環境に置かれても20代のうちは何とか体力と気力でカバーできます。また生徒の年も近く人気も出やすいのです。
本格的に正社員が辛くなってくるのは30代の後半から、40の後半になると1年に10回ぐらいは辞めたくなるはずです。
ただ、その時になってもなかなか別業界への転職スキルが磨かれていないのと、選択肢を知らないので、どんなにつらくても耐えて体調を崩してしまう人がいます。
その時に傷病休暇が取れれば良いのですが・・・それを許している塾を私はいまだかつて見たことがありません。
大手企業は産業面談医が社内に置かれ、残業を厳しく管理。行政処分も入るため、きちんと管理されていますが、上場している学習塾でもそのようなシステムを採用している所はないでしょう。
求人案件に書かれていた条件や待遇と食い違うことが多い
こういうブラックな事実が事前に分かればいいのですが、求人案件に書かれていた条件や待遇が全然違うということがあるのです。
やはり事前の期待値とあまりにもかけ離れているのが辛いんです。
- 有給休暇アリ→実際にほぼなし
- 出世アリ→名ばかり店長のようで待遇には反映されない
- 平均収入モデル→塾に1人か2人のレアケース
- 営業ノルマ無し→教室内の声掛けはあり
- 残業無し→単にタイムカードがないだけ
やばいところややばいです。びっくりしますよ?
本当に入ってからでは遅い。
塾のブラックな実態は外に出ない!SNSや掲示板の書き込み禁止がある
こういうブラックな実態があるのにもかかわらず、なかなか表に実情が出ないのはそれを塾内で禁止しているからです。
- 講師のSNS利用の禁止
- 2chや5chの書き込み巡回
この2つは大手程やっています。生徒の多くはSNSを利用しており、講師の情報が生徒経由で拡散し、保護者の目に触れたら大変なことになります。
間違いなく生徒が減りますので、そう簡単に外に悪い噂はでてきません。
選ぶなら正社員の女性が多い塾がおすすめ
これは詳しく書こうと思いますが、こいいう塾にハマりたくなければ、正社員の女性が多い塾を選択すると良いです。
結婚後も続けられる塾は本当に稀ですが、そういうところは待遇も悪くないはずです。
どんなにつらくても塾を辞めないのは生徒がかわいいから
本当に塾の世界は理不尽がまかり通る世界です。
ただ、ここまで閉鎖的な空間で労働環境が悪くても、なんだかんだ続けてしまうのは、やっぱり生徒が可愛いからです。
社会の厳しさもそこまで分からず、夢に向かって全力で駆け抜ける生徒、今の実力に悩みながらなんとか厳しい時代を生き抜こうとしている10代を見ると感動するんですね。
それでどうしても続けてしまう。
ただ、本当に10年後、20年後を考えた場合正社員でいる今の人生がベストであったのか?それ以外の選択肢はなかったのか?
考えてみた方が良いかともいます。
私は別の道を歩んで独立もできましたが、あの時他の選択を選ばなければ今頃自分がどうなっていたか考えただけで震えます。
本当に将来に希望が見えないのであったら早めに別の選択肢も視野に入れてください。
実はあなたの実力を他に活かせる道は沢山あると思います。
私は転職サイトに登録して四六時中眺めている時期がありました・・。
気軽にどうぞ♪